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シンポジウム2014

シンポジウム2014 「社会・地域・産学連携の最前線を問う-連携教育としてのPBLの可能性と課題-」【2014年8月9日開催】

開催報告

2014年8月9日(土)今出川キャンパス明徳館1番教室において、PBL推進支援センター主催・シンポジウム2014「社会・地域・産学連携の最前線を問う-連携教育としてのPBLの可能性と課題-」を開催した。
大学教員、職員、学生を中心に、企業関係者など、100名ほどの参加者( 参加者内訳 [参加者内訳[PDF 265KB]] )にお集まりいただいた。

全体写真

冒頭の挨拶では、同志社大学副学長、教育支援機構・真山達志機構長より、本学プロジェクト科目について、導入の経緯とこれまでの取組について紹介があり、大学におけるPBLの普及と研究の推進について本センターが果たすべき役割、また、本シンポジウムにおいて、北海道から九州における各地域での取組紹介を頂くことで、地域連携から連携教育へのさらなる発展に対する期待が述べられた。

山田先生趣旨説明

続いて、同志社大学PBL推進支援センター・山田和人センター長より、本シンポジウムの企画主旨として、地域連携に取り組む各大学の報告から、「学生が地域で何をつかみ、何を学び得たのか」というプログラムを検証しながら、さらに、「連携教育としてのPBLの可能性と課題」のテーマをもとに、連携教育の新たなステージについて議論を深める意義について、シンポジウム開催の説明があった。

第1部では学生報告として、同志社大学2013年度プロジェクト科目「世界遺産をデザイン!〜花『桜』と共に生きる吉野山プロジェクト」履修生、大垣健太さん(法学部4年)、小南理華さん(商学部4年)、「京都市伏見地域活性化プロジェクト〜「学び」で観光の質向上を〜」履修生、大江清貴さん(経済学部4年)、狭間洋子さん(文学部3年)、より、それぞれの活動報告がなされた。
活動内容を決めるプロセス、地域との信頼関係の構築や、地域が抱える課題に学生として取り組むことの難しさ、やりがい、1年間の活動後にみえてきた問題や反省点、自身の成長についての報告がなされた。

学生報告(吉野山)
学生報告(伏見)

第2部連携取組紹介・パネルディスカッションでは、まず、小樽商科大学、京都文教大学、広島修道大学、北九州市立大学にて、地域連携の最前線で指導にあたられる教員から、各大学での科目設置背景や取組内容についての紹介がなされた。

大津晶氏(小樽商科大学)
小樽商科大学:触媒型地域連携
取組紹介/小樽商科大学商学部准教授・大津 晶 氏
「地域資源を活用したキャリア教育・社会人基礎力の育成」と「学生が主役となった大学の地域貢献・地域活性化活動」の両立を目指す。約半年間の活動で、地域の課題に、学外の協力団体などと協働して実践する。3年前より「活動の成果だけでなく、活動のプロセスが見たい」との地域からの声を受け、Facebookやtwitterによる情報公開、活動プロセスの見える化に力を入れている。
森正美氏(京都文教大学)
京都文教大学:地域プラットフォーム型産官学民連携
取組紹介/京都文教大学地域協働研究教育センター長・総合社会学部教授・森 正美 氏
現場主義教育「現場で鍛え、考え、役に立つ力を」を掲げる。「知識の量」ではなく、得た知識を「活用する力」を育成することを目的とする。地域から学び大学からも地域に還元していく目的で宇治市、京都市伏見区にサテライトキャンパスを開設。教員、学生個人の「点」の活動をサテライトオフィスへの「線」の活動につなげ、さらに、地域団体との協力を持ちながら、「面」の活動を展開している。
山川肖美氏(広島修道大学)
広島修道大学:専門性活用型地域連携
取組紹介/広島修道大学ひろしま未来協創センター長・人文学部教授・山川 肖美 氏
「教育」「研究」「社会貢献」の3つの柱のもと、「地域社会の発展に貢献できる人材の育成」を目指し、今年度より教育の分野で、地域イノベーションコースを開講。地域の持続的活性化に貢献できる「地域イノベーション人材」の育成に取り組む。社会貢献の分野では、県内各地に地域協創スタジオを開設。地域と教職員・学生の連携・協働を促すための交流拠点としている。
眞鍋和博氏(北九州市立大学)
北九州市立大学:地域密着型社会連携実践
取組紹介/北九州市立大学基盤教育センター教授・眞鍋 和博 氏
地域創生学群は、地域ボランティア養成、地域福祉、地域マネジメントの3つコースをもつ。複数の専門分野の教員が集まり授業を担当。1年次から3年次まで、ルーティン型とプロジェクト型の活動を組み合わせることで、「年間を通し日常的」に地域での活動を行う。地域社会をマネジメントし、地域創造の指導者あるいはコーディネーターの役割を担う人材を育成することに重点を置いている。また、学生みずからレベルアップを図る仕組みとして、チャレンジプログラムを新設している。

引き続き、「大学と地域がつくる連携教育の可能性について考える」のテーマ基づいて、各大学の教員、および本学学生2名によるパネルディスカッションが行われた。

シンポジウム2014

まず、各大学の取り組みにおいて、PBL型授業の「地域連携教育における継続性をいかに実行していくか」についての問いから始まり、学生の悩みにどう向き合うか、正課と課外の関連付けについて、共通する項目、独自の展開が見られる点などについて議論がすすめられた。山田和人センター長のコーディネートで、パネリストから具体的な事例が引き出され、地域連携教育における様々な課題が浮き彫りにされた。また、学生からパネリストの教員への問いかけもあり活発な議論がなされた。「目の前で起こっていることが社会の現実だ」という、結びの言葉のもと、閉会となった。

シンポジウムの成果

今回のシンポジウムの趣旨は、「大学と地域がつくる連携教育の可能性について考える」であり、第2部のパネルディスカッションのメインテーマともなっている。このテーマは、これまでの地域と大学の連携の在り方を問いかけるものとなった。すでに地域連携に取り組む各大学担当者にとっては、地域連携教育の次なるステップへの課題を共通認識する機会となった。以下に、シンポジウムでの特徴的な点をまとめてみたい。

1)地域連携教育としてのプログラム
地域連携活動をベースにした地域連携教育プログラムの質的充実を目指すことが重要であり、その結果として大学と地域を結ぶ連携活動のモデルを作り出すことができる。地域と大学が教育プログラムを介して、互いに成長していくところに地域連携教育のユニークな効果があり、その点を評価すべきである。
2)教材としてのフィールド
地域を教育資源として位置づけるならば、大学教育にとって地域は、社会体験に基づく生きた教材を生み出すフィールドといえる。地域連携教育では、創造的で活力のある地域と連携することによって、学生の実践型・参加型のプログラムの学習効果を導き出すことが可能となる。
3)地域連携教育における継続性
地域連携を支える時間の継続性からみれば、プログラムの継続性を維持していくとともに、毎年入れ替わる学生をどのように地域連携教育に参加させていくのか、多様な入口と出口を備えたカリキュラムを用意する必要がある。空間の継続性という意味では、地域に設置した連携施設の活用や学内に設けた連携施設の利用促進を行うことで、大学と地域の関係が継続的なものとなる。いずれにせよ、その場で学生が活動しているところが見えるような仕組みづくりが大切である。
4)地域連携活動の可視化
学生の活動を地域に公開する必要がある。地域と大学の接点を作るだけではなく、そこでの活動の可視化が必要であり、地域住民と学生が協力して、地域と大学で連携した課題解決型のプログラムを実践していく。プログラムを通して、双方が連携し協働できる環境や条件を整備していくことが重要である。
5)教職協働による科目運営体制
地域連携活動を行う場合、教員組織だけで運営するには、地域との連絡・調整・相談などの業務負担が大きすぎる。地域連携活動を主として担う職員との連携が欠かせない。そして活動の主体である学生と教職員が一体となって、科目を運営する仕組みと体制を作ることが大切である。
6)評価観の転換
取組みについての評価問題をとりあげたとき、決め手を欠くような印象を受けることがあった。それは、評価についての議論の前提となっている評価観が、微妙にずれているからではないか。あらためて、従来の評価観について見直しの必要があると感じる。この問題は、成績評価に代表される静的な評価観から、運動体としてのプロジェクトをとらえるアクティブな評価観に転換していく好機としてとらえるべきである。
7)評価観の再編
地域連携活動の評価とPBL科目の評価を二項対立的にとらえる発想を変える必要があるのではないか。実践の中ではいつのまにか二項対立的にとらえてしまいがちだが、両者を統一的に把握できる教育プログラムの評価方法を考えるべきである。

地域連携教育の大きな要素として、相互の関係構築の占める比重がきわめて大きいことがよくわかる。その中で学生は、課題や困難を自分達で考え乗り越えていく中で成長するものであり、地域・大学・学生の密な往還なしには考えられないものであると実感することができた。

今後の事業への反映

PBLの視点から地域連携の昨今の趨勢を見るならば、やはり、大学教育プログラムとしての質的向上を目指すべきであり、そのための基盤整備として質の高い教材としてのフィールド(地域社会)をいかに適切に設定できるかが重要である。学生のパフォーマンスを最大値にするための環境と条件を整備することが課題であり、常に学生を正面に据えた教育プログラムを地域連携の中核に据えていくべきである。
また、教育プログラムである限り評価の問題は避けて通れない。しかし、高次のアクティブ・ラーニングとしてのPBLの評価が従来通りの成績評価に代表される静的評価では通用しない。むしろ評価自体がアクティブでなければならない。こうした評価観の転換を目指す必要があり、PBL推進支援センターとしても、継続的にこの問題に取り組んでいきたい。
地域連携があらためて注目される今こそPBLの原点に返り、さらには大学教育の原点に戻り、それぞれの大学の個性と多様な学びの機会を提供する地域連携教育のあり方についての議論を深め、今後も取り組みの継続・発展に貢献していきたいと考えている。

アンケート結果[PDF 324KB]

パネルディスカッション
パネルディスかション

シンポジウム2014ポスター

シンポジウム2014ポスター[PDF 915KB]

2014年度PBL推進支援センター事業に係るシンポジウムを開催します。
参加ご希望の方は、2014年8月5日(月)までに、本ホームページ内 参加申込みフォーム 、またはFAXにてお申込ください。※先着150名受付

テーマ 「社会・地域・産学連携の最前線を問う-連携教育としてのPBLの可能性と課題-」
プログラム 13:00
受付開始
13:30~
開会挨拶 真山 達志/同志社大学 教育支援機構長・政策学部 教授
趣旨説明 山田 和人/同志社大学 PBL推進支援センター長・文学部 教授

13:40~
第1部<学生報告>
同志社大学2013年度プロジェクト科目
 世界遺産をデザイン!〜花「桜」と共に生きる吉野山プロジェクト
 京都市伏見地域活性化プロジェクト〜「学び」で観光の質向上を〜


14:20~
第2部<連携取組紹介・パネルディスカッション>
「大学と地域がつくる連携教育の可能性について考える」
 大津 晶/小樽商科大学商学部 准教授
 森 正美/京都文教大学地域協働研究教育センター長・総合社会学部 教授
 山川 肖美/広島修道大学ひろしま未来協創センター長・人文学部 教授
 眞鍋 和博/北九州市立大学基盤教育センター 教授
コーディネーター 山田 和人/同志社大学 PBL推進支援センター長・文学部 教授

16:30
閉会
主催 PBL推進支援センター
お問い合わせ

PBL推進支援センター

同志社大学 教育支援機構 教務部 今出川校地教務課内
TEL:075-251-4630
FAX:075-251-3064
E-mail:ji-pbl@mail.doshisha.ac.jp

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