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PBL教育フォーラム2012

PBL教育フォーラム2012 「チームの学びを引き出すPBL〜チームが個人を伸ばすのか、個人がチームを伸ばすのか?!〜」【2012年11月3日開催】

開催報告

2012年11月3日(土)今出川校地新町キャンパス臨光館3階301番教室において、PBL推進支援センター主催・株式会社SIGEL共催によるPBL教育フォーラム2012「チームの学びを引き出すPBL〜チームが個人を伸ばすのか、個人がチームを伸ばすのか?!〜」が開催された。今年度も大学関係者を中心にその他教育機関の教員、職員、学生、企業関係者など、150名近い参加者( 参加者内訳[PDF 309KB] )にお集まりいただいた。

PBL教育フォーラム2012

冒頭の挨拶では、同志社大学全学共通教養教育センター三ツ木道夫センター所長より、昨年度教育GP終了後も引き続き、本学が全学的な取り組みとしてPBL型教育を推進する姿勢であることが報告された。さらに、PBLに取り組む他大学間の相互交流が広まりつつある中で、今後、全学共通教養教育科目としての本学プロジェクト科目のPBL型教育の実践と、PBL推進支援センターとしての新たな取組への期待が述べられた。

続いて、PBL推進支援センター山田和人センター長より、PBLを社会に問う、PBLにおける評価について等、これまでフォーラム、シンポジウムで取り上げてきたテーマの経過をふまえたうえで、今回「チームが個人を伸ばすのか、個人がチームを伸ばすのか?!」のテーマでPBLに取り組む他大学の学生報告をもとに、プロジェクトにおけるチームについて議論を深めることの意義について趣旨説明があった。

第1部では同志社大学2012年度プロジェクト科目春学期成果報告会CNS賞受賞プロジェクト「子供の成長に良い玩具の考察と企画」の履修生、大平恵さん(文化情報学部3年)と佐伯諒さん(政策学部2年)より、プロジェクト科目におけるCNS(SNS型学習ツール)活用事例の報告がなされた。他学部他学年の履修生たち自身が、学びの主体となって課題に取り組む過程で、各自が得た調査情報やレポート、活動を行う上で必要な文献の収集や情報の分析などをCNS上で共有することで、効率的に時間を使いながら、被災地福島県での活動を実現した成果を報告した。

休憩をはさみ第2部では、PBL型授業に取組む、多摩美術大学PBL科目、東京電機大学情報環境学部、専修大学ネットワーク情報学部、同志社大学プロジェクト科目の各大学学部・科目の取組報告が行われた。それぞれの指導教員・学生から、各大学での科目設置背景についての紹介のあと、各大学学生による取組発表があった。特に本年度は情報系、美術芸術系大学の多彩な大学の参加により、PBL型授業で行われる多様性を明確に示す報告ともなり、参加者のアンケートでも各大学の個性がよく出ており、学生たちの主体性がみえたとの感想を多くいただいた。

多摩美術大学:PBL科目「バナナ・テキスタイル・プロジェクト」橋本京子氏(多摩美術大学 美術学部教授)、山田淳美さん(美術研究科1年)、高橋由衣香さん(美術学部3年)、伊藤亜耶さん(美術学部2年)による発表。
「地球環境問題とデザイン教育」をテーマに、過年度で取り組むプロジェクトである。熱帯地方で栽培されるバナナの素材から、紙製品、織物、自動車外装など多岐にわたる製品を開発するとともに、関係国へ未使用資源のリサイクルシステム構築を提案するなど学部内の各学科の学生により行った。繊維・紙素材製品の提案と、小学生への環境教育教材の作成が発表された。

東京電機大学:情報環境学部基礎プロジェクトA/B「話速変換技術を利用した情報圧縮手法の研究」斎藤博人氏(東京電機大学 情報環境学部 講師)、橋山恭平さん(情報環境学部4年)、橋本恵理子さん(情報環境学部4年)
企業提案、研究室をベースとした2名のプロジェクト。話速変換技術(声質を変えずに会話速度を変化させる技術)の技術的問題を克服し、高齢者向け放送など適用分野を広げる可能性を提案した。学内報告の他、各月末に企業報告を行うなど、企業との連携で進められた。

専修大学:ネットワーク情報学部プロジェクト科目「地域コミュニティにおける世代間交流のための体験型システムの開発」尾辻博子さん(ネットワーク情報学部3年)、平山涼也さん(ネットワーク情報学部3年)、山本剛嗣さん(ネットワーク情報学部3年)
3年次で開講されるプロジェクト学習20科目のうち、ICTを活用して円滑な世代間交流の場を提供することを目標に、学生テーマで活動しているプロジェクトである。フィールドワークでの情報収集(企業・行政・NPO・地域)と他団体のワークショップ取材をもとに「思い出のタグ作り」ワークショップを実施し、地域交流情報を終結したシステム「夢ネット」を作成した。

同志社大学:プロジェクト科目「梅田スカイビル(空中庭園・飲食店街他)魅力アップ提案」清水光次氏(同志社大学 全学共通教養教育センター 嘱託講師)、濱田茜さん(法学部2年)、岩本夏林さん(経済学部2年)、宮本真実さん(商学部2年)
他学部他学年19名によるプロジェクト。大阪市梅田にある商業ビル内2箇所のエリアについて、企業・飲食店街の協力のもとに魅力発信、活性化を目標に取り組んだ。利用者・店舗・企業側へのアンケート・ヒアリング・提案を重ね、春学期成果としてテスト・バル(飲食店食べ歩き)を企画・実施した。現在、その結果で得た知見をもとに秋学期最終成果に向けて活動中。

第3部では、本フォーラムのメインテーマである「チームが個人を伸ばすのか、個人がチームを伸ばすのか?!〜」について、各大学1名の学生代表によるパネルディスカションが行われた。まず、各大学とも設置背景の違う取り組みのなかで、PBL型授業の「チーム」についての認識を共有し、共通する項目、独自の展開が見られる点について議論がすすめられた。PBL推進支援センター山田センター長の司会で、パネリストの学生から素直な意見が引き出されるにともない、後半は学生自身から積極的に議論が深まり、PBL型教育における多様な「チーム」の姿が浮き彫りにされるとともに、最後は「チームがライバルであり、ライバルがチームである」との学生の言葉で閉会となった。

フォーラムの成果

今回のフォーラムの趣旨は、副題に表れているように「チームが個人を伸ばすのか、個人がチームを伸ばすのか?!」であり、第3部のパネルディスカッションのメインテーマともなっている。このテーマはPBLの定義にも触れる大胆な問いかけだったが、課題を見つけ、その解決のために、具体策を提案し、実行していく、その繰り返しの過程でチームが学びの集団として深化するということ、またその過程で生じる葛藤を乗り越えて変化していくのは他でもない個人であることの再確認ができたと思われる。以下に、フォーラムのなかで気づかされた点をまとめてみたい。

  1. 1)
    プロジェクトのクオリティとチームのコミュニティとは相関関係がある。
    チームは、仲間とは異なり、ひとつの目標に向かって相互批判的に意見を交換し合うことができてはじめてチームになる。仲間のままで止まったプロジェクトは、相互評価もじゅうぶんに行われず、社会性も脆弱になり、自己満足のレベルを超えることができない。
    評価者として主体性を発揮できるチームへと、コミュニティの質を高めていくことができれば、プロジェクトの質は自ずとあがってくる。
  2. 2)
    ひとりのプロジェクトであっても、他者と対峙しつつプロジェクトに取り組んでいることは変わらない。他者をどれだけ相対的に自分自身の中に取り込んでいくことができるかにかかっている。二人以上のプロジェクトになれば、そうした他者との対話ができるようになり、その対話のコミュニティがプロジェクトをより客観性を持った社会的な存在へと変えていく。
  3. 3)
    チームの編成は、与えられた環境や条件によって異なってくる。正課授業の場合は、専門か教養か、必修か選択かによっても大きく変わってくる。そればかりか、研究室単位であるか否かによっても変わってくる。つまり、到達目標の設定によっても変わってくる。
  4. 4)
    チームのコミュニティを形成していくプロセスで、プロジェクトは飛躍的に展開していく。到達目標の共有、役割やルールの共有、知識や技術の共有、進捗状況の共有など、チームとして獲得してきた諸要素を共有財産化していくプロセスで、個人学習では体験できない総合的、集団的な学習が可能になる。そこでは、コミュニケーション力・持続的な思考力・主体的自律的な学習意欲などがチームの中で育まれていく。

プロジェクト型の授業の大きな要素として、チームによる学びの占める比重がきわめて大きいことがよくわかる。学生は、課題や困難を自分達で考え乗り越えていく中で成長するものであり、チームの相互作用なしには考えられないものであると実感することができた。

今後の事業への反映

今回のフォーラムによって、学生がPBLを通して何をどのように学び成長していくのかということを改めて実感する機会を得ることができた。
本センターでは、学生は何かを与えられて育つのではなく、PBLの授業を通して自ら考え、課題や困難を乗り越えていくなかで育っていくべきであると考えている。しかしながら、プロジェクト型の授業が大学の中にも定着しつつあるなかで、PBLの教育効果・教育方法を見直しつつ、陳腐化することなくクオリティを引き上げていくことは避けて通れない道筋であろう。そうした際における教職員のプロジェクト・リテラシーへの関わり方を探求していくためにも、大学にとどまらず、初等・中等・高等教育の現場とも協力し合いPBLの教育研究のネットワークを拡大させていくことに本センターも尽力していきたいと考えている。
このフォーラムにおいて、学生たちが本音で自分たちのプロジェクトを議論する姿に、多くの参加者の方々より賞賛のお声をいただいた。企業などへも自ら企画し提案していく姿勢に、模擬体験という言葉では表せないほどすでに社会経験を積んでいるのではないかというご意見もあった。与えられた課題をただこなすのではなく、課題を通して自分たちがどのようにチームとして成長したかという過程の報告までを、今後は期待されていることも浮き彫りになったように思う。また、地域と関わることで得たものをPBLの成果としてどのように再度地域にフィードバックしていくのか、社会との連携も含めて更なる全体的なPBLの根本を見つめ直し今後も取り組みの継続・発展に貢献していきたいと考えている。

アンケート結果[PDF 190KB]


PBL教育フォーラム2012

参加申込書[PDF 385KB]

2012年度PBL推進支援センター事業に係るフォーラムを開催します。
参加ご希望の方は、2012年10月29日(月)までに、e-mailまたはFAXにより、下記問合先へお知らせ下さい。

日時 2012年11月3日(土)13:00〜16:30(懇親会17:00〜)
場所 同志社大学 新町キャンパス 臨光館301番教室
(京都市営地下鉄烏丸線今出川駅下車徒歩5分)
交通アクセス(新町キャンパス)
キャンパスマップ(臨光館)
参加費 入場無料
テーマ 「チームの学びを引き出すPBL〜チームが個人を伸ばすのか、個人がチームを伸ばすのか?!」
プログラム <あいさつ>
三ツ木 道夫
  • 同志社大学 全学共通教養教育センター所長
  • グローバル・コミュニケーション学部教授

第1部<プロジェクト科目 CNS活用事例報告>
同志社大学2012年度プロジェクト科目
春学期成果報告会CNS賞プロジェクト

第2部<学生による取組発表>
多摩美術大学「PBL科目」
東京電機大学「情報環境学部基礎プロジェクトA/B」
専修大学「ネットワーク情報学部プロジェクト」
同志社大学「プロジェクト科目」

第3部<パネルディスカション>
「チームが個人を伸ばすのか、個人がチームを伸ばすのか?!」
司会 山田 和人/同志社大学 PBL推進支援センター長・文学部教授

17:00〜 懇親会

会場:寒梅館 Hamac de Paradis
参加費:4000円
主催 PBL推進支援センター
協賛 株式会社SIGEL
申込方法 参加申込書をこちらからダウンロードし、ご記入のうえ、2012年10月29日(月)までに、教務課へお申し込みください(メール又はFAXにて受け付けします)。
※先着100名受付


※プリントアウトしてお使い下さい。
お問い合わせ先 教育支援機構 教務部 教務課 PBL推進支援センター事務局
TEL:075-251-4630
FAX:075-251-3064
E-mail:ji-pbl@mail.doshisha.ac.jp
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